柊くんは私のことが好きらしい

「ごめんね」

「なんだよー! 謝るなよー!!」

「どっちなんだよ」

「出たなメグ! 俺は、お前を、許さない!!」

「少しも響かない」


それ以上は結構です、と。まるでティッシュ配りを断るみたいな塩対応なのに、着替えから戻ってきた柊くんはどこか機嫌が良さそうに見えた。


「響かないとはなんだ! ここか! お前のここは氷河期か!」

「やめろ触んな。悪かったって」


胸を突かれて嫌がりながらも笑ってる柊くんに、胸がギュンッてなったのは私だけでしょうか。いや、横居さんの携帯から連写する音が聞こえた気がする。


「おい、そろそろ帰れよー」


じゃれているふたりを眺めていれば、担任が教室を覗いてきた。すると、

「全員そろうの待ってるんですー」

誰かが言い、そういえば小鷹くんがいないと気付く。


「打ち上げするのはいいけどなあ。行けるやつから集まっとかないと、小鷹にどやされるぞ~」


それは嫌かもしれない、と思い至ったクラスメイトたちが相談を始める中。私は隣にいる咲を見遣った。


「委員会、サボったね?」


ぐっ、と顔をしかめた咲はそっぽを向く。


「……違うし。咲が疲労困憊だから、見るに堪えかねて、ひとりで行ってくれただけじゃん?」

「ばっちりメイクを直しといて……」

「メイクが崩れたまま過ごすなんて、咲が許さない!」


うん。そうか。小鷹くんに会ったら労いの言葉ひとつくらい贈っておこう。
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