柊くんは私のことが好きらしい
「ほら、私、避けるのうまいから。エキシビジョンとしては盛り上がるんじゃないかって、ふっ……くん、が」
やってしまった! 間違えた。盛大にミスッた!
「あ、あの時は本当にごめんね! まさか柊くんのことプールに落としちゃうなんて、もう、私ってば!」
あははと笑ってみるけれど、返ってくるのは沈黙だけ。
柊くんは机に腰かけたまま俯いて、私もこれ以上続けようとは思えなかった。
ああ……ダメだ。また焦りが出てきた。
プールで抱きしめられたときも。落としてしまったときも。柊くんの笑顔から感じたのは、嬉しいって気持ち。楽しいって気持ち。
もう一度伝えたいってくらい大きな、好きって気持ち。
……言わないで。言わないで、柊くん。
ぐっと拳が握られ、すうっと息を吸い込み、微かに柊くんの肩が上がる。
「好き」
目が合った瞬間、告げていた。
私から柊くんへ告白するときは、もっといっぱい伝えたいことがあった。
いつから意識していたとか、いつ好きになったかとか、どんなところを好きになったかとか。告白されて嬉しかったことも、待たせてしまって申し訳ないってことも。
いっぱい、いっぱい、伝えたいことがあったけど。
「私の彼氏になってください……っ」
これが今の精いっぱいで、1番望んでいること。