柊くんは私のことが好きらしい
「はああああ……」
咲とふたりになった途端、ぐったりと机に突っ伏す。
疲れた……10分も話してないはずなのに、なんだかすっごく疲れた!
「ねー。メグと学園祭回るのはいいけどさあ、自由時間、咲は誰と回ればいいわけ」
「ええ? それはもちろん私とじゃないの」
「どうだか。メグのひまり独占、はんたーい」
「いやそれはさすがにないから! せいぜい1時間とか……」
だよ、ね? え? 自由時間まるまるとか、ないよね? 無理ですけどそんなの目立っちゃって心臓もちませんけど!
本人から聞こうにも、柊くんはすでに席について小鷹くんと話している。
あそこに突撃とか無理。いや、今じゃなくたっていつでも聞けるけど、私は自分から意気揚々と話し掛けるタイプじゃない。むしろ柊くん親衛隊並みの女子グループが日々ガードを高めているわけで……。
そもそも約束してすぐ『回るって言っても1時間くらいだよね?』とか失礼じゃない? でもこういうのは時間が経つほど聞きづらくなるっていうのが定石では。
――ぱち、とまた柊くんと目が合う。
わっ……ど、どうしよう! 今聞きに行くべき!? いやでも本鈴も鳴るし――。
「見つめすぎっ」
ふは、と笑われるとは思わなくて。そんな風に声をかけられるとも思ってなくて。何人か反応したクラスメイトの視線まで感じたから、カーッと一気に頬が熱くなった。