柊くんは私のことが好きらしい
みんなの前でなんてこと言うの、もおおお……!
ぎくしゃくした動きで机に突っ伏した私からはきっと、湯気が出てる。体あっついもん。
見ていたことがクラスメイトにバレたとか恥ずかしすぎる。しかもバラしたのが柊くん本人って!
「もう見ない……絶対見ない」
「無理でしょ。1分以内に見る、に100円~」
「その勝負、勝った」
「今なら特別タダで見てもいいよ」
こそっと耳打ちされ、つい、盗み見てしまう私の現金さと言ったら。
指のあいだから透き見した柊くんは、どこか呆れた表情の小鷹くんの横でくつくつと楽しげに笑っていた。
そして敏感にもまた私の視線に気付き、唇にゆるやかな曲線を描く。そんな笑顔はめったに見られない。
……ううん。私はよく、知ってる。
告白される前から、柊くんの笑顔には何か秘密めいたものを感じていた。それが今は、好意なんだと実感していいものなんだってわかったから、ふいに落ち着かなくなる。
私に向けられる何もかもが、柊くんの特別なんだと感じるたびにどきどきして、どきどきしすぎて、苦しくなる。
……柊くん。私は今、アイスみたいに溶けそうです。