柊くんは私のことが好きらしい
自分がアイスじゃなかったことに感謝はするけれど。アイスだったら溶けそうになっていたこと、それを教室内で起こしてしまったことは結果オーライといかなかった。
とっても簡単に言うと、モブキャラごときが柊くんから彼女指名をもらっていることに不満を持つ人もいるわけで。
「ちょっといい?」
当然のごとく呼び出された。4対1で、清掃時間に。咲も柊くんも教室からいなくなる好機を狙い、レッツ恋敵いびり。
2階に続く階段前はやたら薄暗い。各階に階段は3組と7組の近くにあり、生徒は必然的に自分のクラスから近い階段を使う。
わざわざ使わないほうの階段を選ぶあたり、計画性があるよなあ……。校舎裏じゃなかっただけマシか。
自然と壁際に追い込まれ、私を囲う女子4人を見つめる。名前は知らないけど見たことがあるから他クラスの子だ。
みんな流行に敏感そう。かわいいし美人だし、私の5倍はモテそう。いや4倍……うーん。3.5倍?
「高遠さん聞いてる?」
「あ、はい」
モテ度の比較してる場合じゃなかった。呼び出しに応じたからには真面目に話を聞いて……どうすればいいんだろう。
「その後、どうなってんのかなーって」
どう? とは。柊くんとのこと、だよね。