柊くんは私のことが好きらしい
「えっと……特には、何も……」
「え~? そうなんだぁ」
おおう……笑顔が。親しみ込めた感じの笑顔が、作ってますーって言わんばかりのそれだ。
「高遠さんも大変だよねー。メグに告られただけで、一気に有名人だもん」
「ねー。それにさ、高遠さんがメグの彼女になるかもしれないってことに納得いかない子、超いるじゃん」
超いるのか……。そりゃ柊くんと私じゃ月とスッポンだし、納得できる人のほうが少ないだろうけど、これは気遣われてるのか、牽制されてるのか。
後者だよね圧倒的に牽制されてるよね。
「メグのことずっと好きな子もいるじゃん。今だって諦められない子もいるしさー」
「そうそう。1組のレナも告ったらしいよー?」
なんだろうこの会話。
私、この人たちと友達じゃないよね……。
あくまで何気ない話をしている体を装ってるけど、遠回しに付き合うなって言われている気がしてならない。
「ていうか高遠さんに告ってから、メグって告られる頻度、高くなった気しない?」
「だよねえ!? 思ってた! 知ってる限り、2人は告ってるもん!」
「……、」
「高遠さんは知ってた?」
会話に参加していなかった私はにこりと笑顔で尋ねられ、引きつった笑みを浮かべた。