柊くんは私のことが好きらしい

「正直さ、即答できなかったんだから、断ってもよくない?」

「…………、えっ?」

「メグに告られただけでいい記念になったじゃーん」

「ちょっと、正直すぎだって!」


目をしばたたかせる私をよそに、彼女たちは笑声を混じり合わせながらヒートアップしていく。


「私だったら即OKするけどね~」

「いやいや、告られたら超嬉しいけどさ、先輩に睨まれんのは勘弁~。まあメグの彼女になれるなら知ったこっちゃないけど!」

「あはは! だよね~。でも、高遠さんは違うんじゃん?」

「仕方ないって。だって傷付くだけじゃーん。ぶっちゃけ釣り合ってないし!」

「ひでーっ」


きゃははと笑われて、顔が熱くなる。


知ってる。釣り合ってないって言われていることくらい、知ってるけど。この人たちの思うつぼになるのは、なんだかすごく嫌だった。


「あの……もういいですか?」


ぴたりと笑い声が止む。他に言い方があったかもしれない。


「せ、清掃時間も終わりますし……戻らないと」


それに、呼び出されたなんて知れたら咲が大爆笑して言いふらすもの。それこそ勘弁してほしい。これ以上噂の的になりたくない。


だから早々に切り上げたかった。のに、彼女たちの顔は瞬く間に不満げなものへ塗り替えられていた。
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