柊くんは私のことが好きらしい
特別かわいくもないのに、人気者の柊くんに好きになってもらっちゃってさ。私だって当事者じゃなく外野だったら、なんで?って言う。きっと彼女たちと同じくらい、悔しく思う。
ぽっと出の私よりずっとたくさん、柊くんと過ごしてきた人たちがいるんだもん。
それなのに、ほんと、なんでだろうなあ……。
なんで、私なんかが目に留まったんだろう。
「柊くんはモテるねえ」
浮かんだ言葉を噛み砕いて伝えれば、柊くんは丸くした目を逸らした。
「いや……、……やめてよ」
ふふ。やめてよ、だって。
告白したことが周知されても、数人から告白されてるもん。モテないとは言えないよね。
事実を誤魔化せない柊くんは首のうしろを掻き、口をへの字に曲げている。かわいいなあ。
「なんもされなかった?」
「されてないよー」
むしろ柊くんに登場されちゃった彼女たちのダメージの大きさよ……って私何様! 調子乗るな! スパーンと心の中で自分に平手打ちをしておく。
「……言わなそうだなー」
戻ろ、と歩き出した柊くんについて行きながら、首を傾げる。何が言わなそう?
「ていうか呼び出されたら俺に連絡するとかさ、ついていかないでほしいくらいなんだけど」
それは無茶ぶりというものだ。私がひとりになる瞬間を狙ってくる技量のある子たちが、そう易々とこちらの思い通りに動いてくれるものか。