柊くんは私のことが好きらしい
周囲が騒がしくても、ここだけは以前と変わらない。
最悪、孤立するかもしれないとよぎっていた不安が数日で一掃されたのは、咲のおかげだと言ってもいいくらい、ずいぶん助けてもらってる。
今回も含めて過去3回。私が『メグの彼女候補』であることに納得がいかない子たちに、ことごとく噛み付いてくれた。
咲は愛らしいツインテールをしているけど、メイクの濃さ以上に負けん気が強い。口も悪いし、よく人を小馬鹿にするし、ひるむ姿なんて見たことない。
だから正直、咲こそが呼び出しをしてきそうな子だよなって思う。
しかも絶対リーダー格。率先して別れてよとか言っちゃうタイプ。生意気言われるとカッと熱くなって平手打ち余裕なタイプ。って本人にも言っちゃってるんだけど。
『失礼じゃない? まあやるわけないとは言い切れないけど咲は正々堂々戦うし。てかメグみたいなアイドル顔タイプじゃないから。あの爽やかさっていうか太陽光線みたいな笑顔も無理。向き合えない。それで思い出したけど先輩に超かっこいい人がいた話を聞いて!』
咲に呼び出される側じゃなくてよかった。心底そう思ったけどあの笑顔を無理とか言うなこのやろう。
……なんて、“返事保留中”の私がかばうなって話だと自分でも思うから、何も言えなかったんだけれど。