mariage~酒と肴、それから恋~《5》
成海さんを想ってた10年を一緒に生きてきた梅酒だ。

「10年分の想いがつまっていて、重いでしょう?でも切りが良いから。

これを飲んでしまえば、終わらせることができると思うんです」


私が出した結論。この恋を一人で終わらせることは不可能だ。

なら、一緒に終わらせて欲しい。

これぐらいのワガママくらい聞いてよね。


冷たい風が吹き付ける。
乱れた髪を直さず、成海さんを見続けた。


「10年かぁ~。今開けて飲むの勿体ないなぁ~…。
折角だから、もっと長く、20年、30年熟成させてから飲もうよ」


成海さんのさらっと軽い、論点がずれた返事に落胆する。

真面目に話してるのに、正面から受け止めて答えてくれないの?

泣きそうな気持ちを堪える。

「それはさすがに長すぎますよ。飲むとき、いくつになってるんだって話」


「ははは。ほんとだ。その頃、俺もう定年越えてるなぁ~」


「ははは、じゃないですよ!何、呑気に笑ってるんですか!」

泣きそうな気持ちが苛立ちに変わって、強く言い放つ。

予想外だったのか成海さんは目を丸くして黙った。
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