正しい男の選び方

三週目の金曜日の夕方。

葉子はかすかに期待している。
あの男は今日は来るだろうか。どんな女を連れてくるだろうか。何を作るのだろう。

何でだろう、ついつい男のことを考えていた。

ショートカットの女とこじゃれたイタリアンというのが葉子の予想だった。

絶対、カゴにはジュノベソースが入っているはずだ。いや、案外生のバジルと松の実という買い方かもしれない。

それに、デリでオリーブも買うはずだ。デリのオリーブはイタリアからの直輸入でそんじょそこらのものとは味が違う(と店長が絶賛している)。

葉子の妄想は膨らむ。レジ打ちしながら店内をちらちら眺めていたが、男はまだ来ない。

今日は誰もナンパ出来なかったのかしらん……

そんな心配をし始めた頃、男がやって来た。

横にいた女は、葉子の想像通り、中性的な透明感のあるボーイッシュな女で、ラフなキャミにスリムなジーンズというシンプルないでたちだ。しかし、媚びない格好にぞくっとするほどの色気を感じた。

カゴの中は……大きな塊肉と、モツァレラチーズ、それにバゲットがぽんと入っているだけだった。

こちらは、葉子の予想が外れたようだ。


< 13 / 267 >

この作品をシェア

pagetop