正しい男の選び方
その日、政好はダークブルーのスーツをびしっと着て、ネクタイまでしていた。
それに……トレードマークのバックパックもしょっていない。
明らかにいつもとは違う固い格好だった。
「……どうしたの?」
葉子が聞いても、政好は黙ったままだ。レストランに入って二人は席に着いた。
政好がワインを頼む。優しい顔で微笑んだ。
「乾杯しない?」
「うん……?」
ワインを飲んで乾杯していると、じきにサモサとカレーが運ばれて来た。
ナンがぱりっとしていて美味しい。
葉子はほうれん草とじゃがいものカレーを頼んだ。
「美味しいね」
葉子が舌鼓をうっても、政好は「そうだね」としか返事をしない。
もともと政好は軽妙な会話を楽しむようなタイプでもないし、今日はいつもよりも緊張しているように見える。
どことなく会話が途切れがちだった。
「どうしたの? 何かあった?」
「うん……実は、話があるんだ」
食事もすっかり終わり、二人でワインを飲むともなしに飲んでいたら、政好が改まった口調で言い出した。
スーツのボタンをかけなおして、姿勢を正している。
葉子も思わず背筋を伸ばして政好に向き直った。