正しい男の選び方
葉子は目の前でキラキラ光る指輪に目をやった。
「……ちょっと待って。いきなり言われても。結婚とか、ハワイとか。私の都合だっていろいろあるし」
「それがね、すごくいい待遇で行けそうなんだよ!
配偶者なら、大学で講義を受けたり、研究所で研究の手伝いとかも出来るんだ。
だから、その気があれば、葉子も大学に通って論文を書いたりできるかもしれないよ?
この際、アマゾンの森林についての研究をしたらいいと思うんだ」
「でも、私、研究なんかちっとも興味ないんだけど。ただ、アマゾンの森林を伐採しなければそれでいいだけだし」
「でも、僕は、葉子がこんなところでくすぶってるの、もったいない、ってずっと思ってたんだ。
ハワイに行けば、もっと大きな仕事ができるよ、きっと」
「今の仕事、辞めろってこと?」
「いいんじゃないか? 大した仕事じゃないし。スーパーの店員だし、そんなのパートのおばちゃんがやるような仕事だろ?」
葉子の戸惑いも何も置いてけぼりで、政好は興奮したまましゃべり続けた。
「葉子が来てくれたら、二人で大学のアパートに住めるし。そしたら、
アカデミックな環境で刺激を受けてきっと素晴らしい論文だって書けるよ。
夏休みには二人でアマゾンに行ったっていい。すごくいいと思わないか?」
「……そんなの、私、やりたくない。
それに、大した仕事じゃない、なんて決めつけないでくれる? これでも一生懸命やってるのよ?」