正しい男の選び方

葉子はそこで決壊した。涙がぼろぼろ、鼻水がぐしょぐしょだ。

「お、ちょっと待て。今ティッシュを持ってくる……どこ?」

浩平は部屋の中を見回したが、暗すぎて見つけられないようだった。
葉子は鼻をぐすぐすすすっている。

「ティ、ティッシュなんかウチにないわよ。アレ、すごく環境に良くないのよ」

浩平はふっと笑った。

「……だね。森林を伐採しなくちゃいけないもんね」

「ハンカチ、とって。そこの引き出し」

浩平は引き出しからハンカチを取り出して葉子に渡した。葉子が鼻をちーんとかんだ。

「……落ち着いた?」

浩平が葉子の頭をくしゃくしゃとなでる。

「うん」

「で? サンゴ礁は何て言ったの?」

「……もう、いい」

「何だよ、言えよ」

「ううん、いい」

部屋はろうそくの光だけでほの暗かったが、葉子には浩平が静かに微笑んでるのがわかった。


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