正しい男の選び方
「ね、だいぶん上達したよね」
ルーシーが急に言い出した。
「え? 何が?」
「英語。ほとんど困ってないじゃない?」
そう言われれば……ニューヨークにいるせいか? 葉子は、あまり英語に違和感を感じていなかった。
「うううぅ。初めてルーシー先生に褒められました、私」
大げさに感激してみせると、ルーシーは鼻白んだ。
「何、それ。いかにも鬼教師みたいな言い方じゃない?」
「自覚ない? 私は何回悪夢を見たことか。
浩平とルーシーが高笑いしながら迫ってくるの。えいごしゃべれーって言いながら」
葉子の言い草にルーシーは声をたてて笑った。
「ね、葉子は浩平のこと好きなの?」
「え?」
不意打ちの単刀直入の質問に葉子はドキリとする。ルーシーはそんな葉子の反応を見て面白そうにニタニタした。
「じゃ、明日の夜はチャンスじゃない」
「な、チャンスって何ですか、チャンスって」
「綺麗に着飾ってるわけだし? ダンスして雰囲気盛り上げて、そのまま勢いでやっちゃえばいいのよー」
(っていうか、勢いでやっちゃったことはあるんだよね……一回だけ。
大体、浩平は周りに女がいたらやらずにはいられないだけのような気がするし……。
もう勢いじゃできないし。好きっていうのはちょっと違う気がするし……。
ただ巻き込まれてるだけって気もするし)
葉子はブルブルと頭を振る。
「あー、明日のパーティーが楽しみ」
ルーシーは口笛をピューッと吹いた。
葉子は、明日のことを思うと、なんだかプレッシャーで胃がおかしくなりそうだ。
「お願い。これが終わったら、ホテルに戻って最後の特訓をして!」
「はいはーい」
ルーシーは陽気に答えた。