正しい男の選び方
それから、ようやく浩平は葉子の方を向いた。
「よく似合ってる、そのドレス」
「……」
面と向かって言われると、やはり恥ずかしくなってしまって、下を向いていると、浩平が葉子の顔を覗き込んだ。
「堂々としなきゃだめだろ。こんなに綺麗になったんだから」
「馬子にも衣装ってわけね。こんだけお金をかければ誰だって多少は綺麗になるわよ。……もったいない」
葉子は、気まりが悪くてひどく子供染みた憎まれ口を叩く。
浩平は苦笑いをした。
「相変わらずもったいないおばけに取り憑かれてるなぁ。
いいんだよ、女は贅沢して綺麗になれば。男はそれを見て幸せになれるからさ」
贅沢をしてもいいの?
それが男を幸せにするって?
葉子は、湯水のようにお金を使って、これ以上ないくらいの贅沢なひと時を過ごしている。
もったいない、こんなにお金使うなんてばかみたい……と思いながらも、
豪奢で美しいものに取り囲まれて素敵な気分を味わっていることも確かだった。
自分が高貴でエレガントな貴婦人にでもなったかのような錯覚を覚える。
葉子は自分の手をみてうっとりした。
まるで女優のように綺麗にネイルが施されている。にわかに自分の手とは思えないほどだ。
贅沢はまるで麻薬のようだった。信じられないほどの力で葉子を虜にしていく。