正しい男の選び方

「……それにしても二週間ちょっと、よく音を上げずにがんばったよな。……これは、オレからのご褒美」

そう言って、浩平が葉子に見せたのは、上品にダイヤモンドがちりばめられた金のネックレスだった。

贅沢もここに極まれり、って感じである。

「後ろを向いて。つけてあげるから」

浩平が葉子の首に手を回してネックレスをつける。

「……これで良し。完璧」

うなじの下あたりに浩平の甘い息がかかる。思わずぞくっとした。

(……首筋にちゅっと音をたてて軽いキスをして欲しかったな……甘い恋愛映画みたいに。
 ここはニューヨークなんだし。ルーシーのほっぺたにもキスしてたし)

そんなことを妄想している自分に気づいて慌てる。

おかしい!そんなことを妄想するなんて。
本当に、地に足がついていない。ふわふわと空中を漂っているようだ。
でなきゃ、自分が映画のヒロインかなにかになったような気がしてくる。

とても現実のこととは思えなかった。

浩平に手を取られてホテルの外へ出ると、そこには大きなリムジンが待ち構えていた。
夢はまだまだ続きそうだ。
12時の鐘が鳴っても消えてしまわないよね……現実のことと思えない葉子はそんなことまでぼんやり思った。

浩平はルーシーと葉子をするりと車の中へ滑り込ませる。
それから、自分が乗り込んで、やがて車はゆっくりと出発した。
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