正しい男の選び方
マンハッタンを離れ、まるでホワイトハウスのような大きな邸宅に着くと、そこがパーティー会場だった。
車寄せに止まったリムジンから降りると、似たような車がどんどん到着する。
いずれも、タキシードを着用した男性にエスコートされて、華やかなドレスをまとった女性たちが降りて来る。
会場の中まで続くレッドカーペットがあったとしても、葉子は驚かなかっただろう。
あまりのきらびやかさに葉子は心臓がドクドクしてくるのがわかった。
こんなところで、スピーチなんか出来るのだろうか?
カタカタと震え出した葉子を見て、浩平は葉子の手をぎゅっと握った。
「大丈夫だよ」
(大丈夫なわけ……ないじゃない?)
不安が襲って来て葉子は自分の胸に手を当てる。浩平が葉子の耳元でささやいた。
「出来る限りの準備はしたじゃないか。それに、葉子が一番綺麗だから心配するな」
今日だけで、浩平は何回葉子のことを綺麗だ、と言った事だろう。
いつものみえすいた調子のいいお世辞だ、とわかっていても少しは安心できた。
あんなに時間と金をかけてこのパーティーのために自分を作り上げたのだから、少しは綺麗になってるはずだと、浩平に言われる度に葉子は自分に言い聞かせていた。
自分の持ってきた服でなく、浩平に買ってもらったドレスを着てきて本当に良かった、としみじみと思う。
ファストファッション店のニッキュパーのスーツでは、葉子の自信は粉々に砕け散っていたに違いない。