正しい男の選び方

会場の中へ入って行くと、すでに多くの人でごった返していた。

浩平はいろんな人に次々と声をかけていく。その度に、横にいる葉子をみんなに紹介する。
葉子は緊張のあまり笑顔が固まってしまいそうだった。

その人の波をかき分けて、浩平は、一人の上品な老婦人のところに葉子を連れて行った。

「あら、浩平。今日は会えないかと思っていたわ、こんなに人が多くて」

老婦人は、浩平の顔を見ると嬉しそうな笑みを作った。

「ミセス・マイルズ、僕はあなたに会いに来たんですよ、分かってるでしょう?」

ミセス・マイルズと呼ばれたその老婦人は、それを聞くとほほほと上品に笑った。

「あら、怖い。今日は何をねだられるのかしら」

「紹介したい人がいるんですよ」

浩平は、そう言って、ミセス・マイルズに葉子を紹介する。

「こちら、ミス・ヨウコ・ナガサワです。彼女、アマゾンの森林を保全するために熱心に活動しているんです。
 それで、今晩スピーチしてもらおうと思って来てもらったんです」

「それは素晴らしいわ。私も、この前、浩平からアマゾンの話を聞いて心を痛めていたところなのよ」

それから、ミセス・マイルズは葉子の方に向きなおって、まばゆいばかりの笑顔を見せた。

「ヨウコさん、あなたは環境……団体で……して……かしら?」

ミセス・マイルズが葉子に話しかけてくるが、早口の英語で葉子は半分ぐらいしか聞き取れない。冷や汗がじっとりと出た。




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