正しい男の選び方
葉子は返事に詰まった。
「そう思います?」
「そうよ。アマゾンなんか……も、排気ガスの規制をするほうが……いいんじゃ……かしら?」
何となくしか老婦人の言っていることがわからない。葉子は返事にぐっと詰まった。
老婦人は、葉子の返事を待ち構えている。
葉子は、ちょっと考えるふりをして、それからおもむろに口を開いた。
落ち着け、慌てるな、大丈夫、と言い聞かせる。
さっき浩平が耳元でささやいてくれたのを思い出したら気持ちがすーっとないでいった。
「おっしゃる通りです。ただし、排気ガスの規制は規制したらすぐに二酸化炭素の排出量を減らせるんですけど、アマゾンの場合は、乱開発をやめたところですぐに元に戻る、というわけではないんですよ」
「どういうことかしら?」
「ご存知のように、木を植えたところで、それが育って森林になるまでには何十年とかかるんです。
そして、熱帯の森林というのは、例えば、木が育ってから、5年、10年、30年とでは生態系が全く違うんです。
もちろん、これが100年、200年ともなれば……伐採は一瞬ですけど、取り戻すのにはとても長い時間がかかるんです。
だからこそ、今からアクションを起こす必要があるんですよ」
「もちろんそうね。でも、アマゾンだけがそんなに特別なのかしら?」
……この老婦人、上品で穏やかな物腰とは裏腹に、結構意地悪である。
葉子はゴクリと唾を飲み込んだ。