正しい男の選び方
浩平とはぐれてしまった葉子は、彼を探して歩き回っていたが、スピーチをしたせいで、あちこちから声をかけられる。
葉子のスピーチを褒めてくれて、自分も何か力になりたい、と暖かい言葉をかけてくれる人も何人もいた。
アマゾンの森林保護の話だ。
そんなことを言われると、葉子はつたないながらも、情熱いっぱいに話をした。
彼女の危機感は心からのものだ。何よりもその熱心さが人々の興味を引いたようだった。
「正直、あなたの情熱には感動しました。一杯いかがです?」
見知らぬ男の人が葉子にグラスを差し出した。
「あ、ありがとうございます」
「退屈なパーティーかなと思っていたら、とても興味深いお話を聞くことができて良かったです。しかもこんなチャーミングな人から」
浩平も真っ青な口のうまさだ。
しかし、華麗なドレスを来て、ゴージャスなパーティー会場でシャンペン片手に、タキシードに身を包んだ(素敵な)紳士に言われてみると、悪い気はしなかった。
しかも、緊張とアルコールのせいでほどよく酔いが回って来ている。
どうせこれは夢の中の出来事。
葉子は、映画に出てくるヒロインのように綺麗に着飾って、スターのような紳士に誉められている。
それならば……と、葉子は、その紳士を、瞳を大きくしてじいっと見つめるとにっこりと笑った。
「どんなところに出会いが転がっているかわからないものですね」
自分じゃない誰かの口から出たようなセリフに葉子自身が一番驚いている。
「素敵な出会いに」
紳士はシャンパングラスを持ち上げた。