正しい男の選び方

葉子もゆったりとグラスを差し出す。二人のグラスはカチンと高級な音をたてた。

「一曲いかがですか?」

紳士は優雅に葉子の手を取る。
いつまでも続く夢の時間に葉子は目眩いがしそうだった。
紳士と踊っていると、フロア反対側の端のほうに浩平がいるのがチラッと目に入ってきた。

二人の間には大勢の人がいて、よく確認出来ない。くるくると回りながら、首だけを浩平の方に向ける。
ターンをした時に目を向けると、浩平の横顔が見えた。
浩平は楽しそうに笑っている。
その視線の先を見ると、見覚えのある顔が視界に飛び込んできた。

カナ?

葉子は思わず二度見する。
間違いない。

大胆に背中の開いた深紅のセクシーなドレスは、カナによく似合っている。
人が邪魔してよく見えないが、浩平はカナの腰に手を回しているようだった。

…………

「どうしましたか?」

いきなり固まってしまった葉子を不審に思ったのだろう。紳士が心配そうに口を開いた。
紳士の顔を見返した。

「あ……」

12時の鐘が聞こえたような気がした。魔法が解けていく。
カナの嬉しそうな顔と浩平の笑顔。
急に現実に引き戻された。



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