正しい男の選び方

確かに、葉子は当然のように期待していた。
浩平だったら、きっと素敵なところへ連れて行ってくれるだろう、って。
ブロードウェイのお芝居とかゴージャスなバーとか、葉子の見た事もないような世界をかいま見せてくれるに違いないと疑ってもなかったし、多分、夕べあんなことがなければ、そうなっていたのだろう、と思う。

思った以上にがっかりしている自分に気がついて、葉子はびっくりする。

別に……贅沢がしたいわけじゃない。
お芝居だって素敵なバーだって別にそれほど行きたいわけじゃないし、きっと行ったら、思わず「もったいない!」って叫んで、浩平はそれを聞いて苦笑いするに決まってるのだ。

だけど、一つ分かっている事がある。
それでも、それは心ときめくとても楽しい特別な時間で、浩平はいつも葉子の心に何か温かいものを置いていく。

それに、浩平はとても寛容で、持ってるものを惜しみなく与えてくれたし、寛大で、いつも温かく葉子を受け入れてくれた。

そんな浩平が、怒ってロクに口もきいてくれない……。

葉子は迷子になったような気がして途方に暮れた。
葉子は、まるで迷路の出口を探しているかのよにマンハッタンをぐるぐる歩いて回った。

途中で、店長たちへのお土産も買った。今回ばかりは、葉子もかなり奮発する。
ずっと残業してなかった罪悪感とか、こちらのクリスマス直前の浮かれた雰囲気も影響していたのだろう。

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