正しい男の選び方
しかも浩平はちゃらんぽらんの女たらしだ。
あの調子じゃ大学時代から女が途切れたことはなさそうだし、カナとだって怪しいもんだ。
あんなヤツと関わりあってると、葉子の神経が持たない。血圧が上がりすぎて血管がすぐに切れそうだ。
今回のニューヨーク旅行ではそれを思い知らされただけだ。
だから……きっと、これで良かったんだ、葉子は自分にそう言い聞かせていた。
今まで起きていたことはきっと夢のような出来事。
そう、葉子はようやく悪夢から目が覚めるのだ。
あんな傲慢で自分勝手なことばかりする人とこれでようやく縁が切れるのだから喜ぶべきことなのだ。
ファーストクラスでブースが仕切られてて返ってよかった、と葉子は思った。
フライトの間、浩平の顔を見なくて済む。話しづらくて気まずい思いもしなくて済みそうだ。
そして東京に戻って家に帰ってしまえば……もう、浩平の顔を見なくてもいいのだ。
大体、あの、浩平のマンションに転がりこんだ2週間ちょっとの日々だって無茶苦茶だった。
ルーシーという体のいいお目付役がつけられての軟禁状態みたいなモンだ。
どうやったのか知らないけど、店長までうまく丸め込んで、葉子は浩平の言いなりだったではないか。
おかげで、葉子の頭の中は浩平で一杯になってしまった。考えたくなくても、浩平の顔が浮かんで来てしまう……
浩平は、葉子の頭に居座って出て行ってくれなかった。
葉子は飛行機の中でふて寝を決め込んだ。
後から後からこぼれてくる涙を誰にも見られたくなくて、横になって壁を向いたままじっと動かなかった。