正しい男の選び方
「そんなにすごかったんだ」
「見栄っ張りだかなんだか知らないけど、バカみたいにお金かけるのよー。
高いモノ買うのがえらいって思ってるみたいで、なんかムカつくんだよね。金持ちってホント、もったいないことばっかするよね」
「……まあ、一般人とは常識が違うからなあ」
「でしょ!? 私が『もったいない!』って言っても、笑うばっかりでさー、全然気にしないでじゃんじゃん使うの。
これ見よがしだか何だか知らないけどバカにしてると思わない?」
浩平の非難となると葉子の口は驚くほど滑らかになる。
「……」
「アイツってば、私が何言ってもニコニコしちゃってさー、挙げ句の果てには『贅沢したっていいんだよー』とか言うの。
いいわけないっちゅーの! 大体、こっちはアイツと違ってそんなにお金がないんだからさ、さらっと言わないで欲しいよね!?
分かっててそういうこと言うのって嫌味じゃない?」
「でも、星野のヤツが贅沢させてくれたんだろ?」
「そう! ムカつくんだよ。私がもったいないからこんなことしなくてもいい、って言ってるのに、女が贅沢して綺麗になるのを見てると男は幸せになる、とか言っちゃってさー」
葉子は口をとがらせた。
「贅沢して綺麗になったんだ、ニューヨークで」
「……ま、まあね」
政好に指摘されて、葉子は急にたじろいだ顔になる。