正しい男の選び方
「好き? 私が? 浩平を?」
「大好き以外の何モノでもないだろ、それは。さっきから嬉々としてニューヨークの話をしてるよ。
僕の話は全然聞いてないくせに。頭が一杯だろ、星野とニューヨークのことで」
「…………」
「楽しかったんだろ?」
「うん。すごく楽しくて夢みたいだった……」
葉子はぽろぽろ泣き出した。
葉子は、パーティーで見知らぬ男性に思わせぶりな態度をとって乾杯までしたことまで思い出した。
あんなこと……まさか、自分がするなんて、できるなんて思ってもみなかった。
浩平が、ずっと綺麗だ、自信を持て、って囁いてくれていたから、魔法にでもかかったみたいに、調子に乗ってダンスまでしてしまった。
あれは……何と言うか、魅惑的な体験だった。
自分がすっごいモテ美人になったような、そんな錯覚を起こすほどで、葉子はあのときとてもいい気分だったのだ。
そして……葉子は、そういうことが出来てしまった自分をどこかで誇らしく思っていた。
「返す返すもムカつくなァ、アイツ」
政好は憎々しげな声をだす。
「……ごめん」
「アイツは知ってるの?」
「何を?」
「葉子がニューヨークで最高に楽しかったってこと」
「……わかんない。最後はけんかになって、最悪の雰囲気だったもん」
「仲直りの仕方がわからないってわけ」
その通りだった。
「……あとは、葉子次第だろ。……僕は、行くね。健闘を祈ってるよ」
政好は席を立った。