正しい男の選び方
7時5分。
ピンポーンとチャイムが鳴った。
葉子がドキドキしながらドアを開けると、浩平が立っていた。
「はい」
手には黄色の菊(!)の花束。
それを葉子にそっけなく渡すと、靴を脱いで、中へ入った。
「うちには仏壇なんてないよ?」
葉子が戸惑って思わず言うと、浩平は小さく笑った。
「花束は、仏様じゃなくて、君への手土産」
「……ありがとう」
なんか微妙だ。広告紙の白い裏面に包まれた菊の花束。
「……話って?」
けんもほろろなその口調に葉子はかなり気持ちがくじけたが、ぎゅっと手を握って胸にこぶしを当てる。
ガンバレ。自分で自分を励ます。
「うん。ごはんも用意したから、まあ、座って、ゆっくりしていって」
なるべくいつもの口調になるように努めたが、少しだけ声が震えているのが自分でもわかった。
そうとう緊張しているらしい。
席につく浩平に、葉子はワインを開けて、簡単なおつまみを勧める。
「今、作っちゃうから、それ、食べながら待ってて」
「……」
葉子がフライパンを取り出して、火を点けるとジュウジュウと煙がたちこめて、葉子は慌てて換気扇を回した。
換気扇はぶうんとうるさくがなりたてる。