正しい男の選び方
浩平は驚いた顔で、葉子をじっと見つめる。
しばらくの間、二人は無言だった。
「……驚いたな」
「うん」
「肉、食べるヤツ嫌いなんじゃなかったっけ?」
「うん」
「ムダ遣いばかりする浪費家も?」
「うん」
「おまけにいい加減で女好きだし?」
「……知ってる」
「なのに好きなの?」
「……うん」
「どうして?」
「え?」
「なんでオレが好きなの?」
浩平は葉子が今まで見た中で、一番意地の悪い笑みを浮かべている。
目をくりくりとさせ、口角をちょっとだけあげている。これで口の端から短い牙をみせていたら、ドラキュラそのものだ。
葉子はかあっと顔が熱くなる。
自分でグラスにワインをなみなみと注ぐと、また、一気に飲み干した。
ふぅーと言って、両手で自分のほほをぱちんと軽く叩く。気合いを入れてるにちがいなかった。
浩平は黙って葉子が口を開くのを待っている。
「その……言わなきゃ駄目?」
浩平はワインを一口ゆっくり口に含んで美味しそうに味わってからおもむろに答えた。
「是非、知りたいね」