正しい男の選び方
この、微妙な敗北感は何なんだろう。
葉子は込み上げてくる自分の感情をうまく説明できなくて腹立たしい気持ちになる。
「ディズニーランドなんて……最悪じゃないですか」
政好がふいに切り出した。
「混んでるし、電気を大量に使うし。ディズニーなんて商業主義もいいとこじゃないですか」
「本当ですよねー。ディズニーランドなんて、なくたって全然こまらないのにね」
葉子も賛成する。
政好は心強い味方を得たと思ったのか急に滑らかに口を動かし始めた。
「ああいうところって、ゴミもすごく出るでしょう」
「そうなんですか」
「ちょっとした包み紙とかノベルティとか。お土産もどうでもいいようなものばかり売っている」
「緑川さんはああいうところは嫌いなんですか?」
「嫌いです。夜中まで騒いでうるさいし、僕には時々地球の悲鳴に思えて来る事があります。こんなにうるさくしないでくれよ、とか、夜は静かに寝かせてくれよ、ってね」
「ああ……何となくわかります! 私も、スカイツリーのライトアップとか、クリスマスの街路樹に電灯を巻くのとか大キライなの。
夜は……暗い方がいい」
「……こんなに話が合う人がいたなんて。奇跡です」
そうだ、そうなのだ。
強欲にならない、慎ましく暮らすのは美しい事なのだ。
自分の欲望だけじゃなく、他人のことや環境のことも思いやれる謙虚さ。
まさしく葉子の目指すところであり、政好もそのように思っているらしいことは、まさに奇跡的であった。