正しい男の選び方
準備は順調に進んでいるように思えた。
「うんと宣伝したいね」
「チラシとか作っちゃおうか」
「じゃあ私、店長に言ってスーパーに貼らせてもらう」
「じゃ、僕も大学の掲示板に片っ端らから貼りますよ」
「あー、それ、いいね! 他の大学とかにも貼りに行っちゃおうか?」
「じゃあ、他のスーパーにもこっそり貼りにいっちゃう?」
「そんなことしていいのー?」
帰り際、四人の会話はいつになく盛り上がる。
それに、中田さんと恵がやけにべたべたしているので、何だか葉子たちも刺激されてしまって、ごくごく自然に葉子は政好と腕を組んで歩いていた。
葉子の人生は上々だった。
葉子は家に帰ると早速チラシのデザインを始めた。
こういうのは葉子の得意技だ。
お絵描きソフトをちょちょっといじって、それらしいチラシを瞬く間に作り上げてしまった。1000部ほど印刷する。
各自で、配ったり貼ったりする予定だった。
店長に出店のことを話すと、快くチラシを店内に貼らせてくれた。
その合間には、Tシャツとバッグのデザインを決めて、業者に制作を頼む。
当然、政好とも何度も連絡をする必要が出てきて、政好とのやり取りは今ではすっかり生活の一部になっていた。
「緑川さん」と呼んでいたのがいつしか「政好」に変わり、「長澤さん」と呼ばれていたのが、いつしか「葉子」に変わっている。