スウィングしなけりゃときめかない!―教師なワタシと身勝手ホゴシャ―
☆.。.:*・゜
昨日、裏口から飛梅を出た後、わたしと美香子先生は頼利さんの車で送ってもらうことになった。
わたしの家なんて目と鼻の先に見えてたんだけど、そのわずかな距離がかえって不気味だと、頼利さんが言った。
飛梅の駐車場はコンクリート塀で囲まれた路地の奥にあって、丁寧に教わらなければ発見できない。
頼利さんの四駆はちょっと大きめだから、路地の幅にぎりぎりだった。
それでも難なくバックで発進できる頼利さんは、かなり運転がうまい。
らみちゃんは後部座席で眠りっぱなしで、隣に座った美香子先生が甲斐甲斐しくタオルケットを掛けてあげていた。
わたしは助手席から、生まれ育った町が夜に沈んでいるのを眺めていた。
頼利さんの四駆の車高のせいもあって、知らない町みたいだった。
最初に美香子先生を送り届けて、次にわたし。
車に乗ったまま家の近所をぐるっと見回して加納がいないのを確認してから、頼利さんはわたしの家の玄関先に車を寄せた。
シートベルトを外しながらお礼を言って、ドアを開けようとする。
わたしがその手の動きを止めたのは、頼利さんが運転席からわたしのほうへ身を乗り出して、助手席のシートに手を掛けたからだ。