スウィングしなけりゃときめかない!―教師なワタシと身勝手ホゴシャ―


☆.。.:*・゜


コインパーキングに停められた頼利さんの車のそばで、らみちゃんが、ぎゅうっとわたしにくっ付いている。


「せんせぇ……せんせぇ、だいじょうぶ?」


言葉足らずになって、目がうるうるで、小さな体はちょっと震えてる。

わたし、らみちゃんにまた助けてもらったんだ。

その実感が、今になって湧いてきた。


「ありがとう。来てくれて、ありがとうね。でも、どうしてここに?」


頼利さんが後部座席にわたしのバッグを積み込みながら、説明した。


「この先にある音楽大学のコンサートホールに行くところだったんだ。

WJOのライヴに、音大のジャズ科の学生たちが来ててな、自分らのコンサートが金曜にあるから招待したいっつって、人数ぶんのチケットを置いていった」


メンバーの全員がコンサートに行けるわけではなかったから、頼利さんたちは、余ったチケットを譲ってもらったらしい。

駐車場に車を置いて歩いていく途中、エンパヰヤのガラス窓越しにわたしを見付けて、様子がおかしいと感じたそうだ。


らみちゃんが、あのね、と話したそうにしている。

わたしはしゃがんで、らみちゃんと目の高さを合わせた。


「なぁに、らみちゃん?」


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