スウィングしなけりゃときめかない!―教師なワタシと身勝手ホゴシャ―


洗脳みたいな呪縛みたいな、加納から受けた影響。

わたしは越えられる?

越えて、解放されて、自由になれる?

恐ろしいことだったりしない?

本当に大丈夫?


「おい、先生」


「あ、はい」


「余計なことタラタラ考えてんじゃねぇよ。話せっつってんだ」


口が悪い。

言葉が汚い。

態度だって素っ気ない。

なのに、わたしは、この人のことは怖くない。

やなやつって思ってたけど。


率直だから、かな。

おもしろいとか、すごいとか、賢いとか、ありがたいとか、ストレートに表現する人だから。

誉める行為が欲得ずくじゃないから。


加納に誉められるときは、調教用のアメを与えられるだけだった。

その裏にはムチと計算があって、そういう計画性の中じゃないと、加納が他人を誉めることはない。

お偉いさんって、そうだよね。

社会人経験を積むうちに、いつの間にかそれに気付いた。


ミュージシャンって、ピュアな生き物なのかな。

頼利さんの誉め言葉には嘘がないの。

わたしは頼利さんなら信用できる。

信頼して、話せる。


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