スウィングしなけりゃときめかない!―教師なワタシと身勝手ホゴシャ―
「加納の話を要約すると、家の事情があって婚約することになったけど、相手の女性と合わなくて、わたしと寄りを戻すことで婚約を破棄する方向に持って行きたい、と」
「上手にまとめなくていい。話したいことを、話したい順に、全部ぶちまけてみろ。あんた、この期に及んで、いい子すぎんだ」
「そんなこと言っていいんですか? 話、ぐだぐだになりますよ」
「おれは、理路整然としゃべらねぇやつと会話するほうが慣れてる。たいした問題じゃねぇよ」
優しいんですね、とは言わずにおく。
言ったところで、頼利さんは否定するだろうし、今は黙ってその優しさに甘えておきたい。
思い付くままに、わたしはエンパヰヤでの出来事をしゃべった。
加納の人間性が変わってなかったこと。
だから、わたしも昔みたいに萎縮してしまったこと。
言いたいことを言えなかったこと。
言葉が胸に詰まって、息ができなくなったこと。
さっき、エンパヰヤにいる間はあんなに苦しかったのに、今はもう、するすると言葉が口から出ていく。
頼利さんは、たまにあいづちを挟みながら聞いてくれた。
車はすでに喜多小校区をぐるりと1周している。
頼利さんは、わたしが話し終わるまでずっと車を走らせ続けるつもりなんだろう。