俺の半径3メートル以内に近寄るな。 【完】
「あ?朝からうるさい…大きな声出すな」




柊くんはだるそうに言うと、急ぐ素振りなど全く見せずに、ゆっくりと歩き出した。




いやいやいやっ
そんなスピードじゃ間に合わないでしょ!




「ちょ、そんなゆっくりしてたら遅刻するって」

「うるさい、だりぃよ」




そう言って柊くんは私のことを鬱陶しそうにしっしと手で払ってきた。




ちょっ!手で払うとか私は虫ですかっ!?




「もうっ学級委員が遅刻なんて許されないから!ほらっ行くよ」




こうなったら何が何でも間に合わせてやるんだからっ




私はだるそうに歩く柊くんの腕を無理矢理掴み、一緒に教室へと走ったのだった。




「ちょ、おいっ触んなって」




「いいから!早く走って!」




柊くんの言葉に耳は一切傾けず、腕を掴む力をより加えた。
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