水玉模様
「ワン切りするね。」

「…。」

篠田くんの番号が、あたしのスマホに…入ってきた。

「ついでにアドレスもメールしとくね。」

「う…ん……。」

破裂しそう…。

篠田くんで、いっぱいだ。


「あ。…雨?」

「ホントだ。」

傘をさす程じゃないけど、少しずつ…少しずつ、あたしと篠田くんを湿らせていった。

「ごめんね、俺が引き止めちゃったから…。」

「別に気にしてないよ。帰る…?」

「そだね。駅まで送るよ。てかいいモノ持ってんじゃん(笑)。」

篠田くんが、あたしの持っている傘を見て言った。

「さっきそこのコンビニで購入いたしましたー(笑)。」

「あはは。かして?」

あたしの返事を待つ事なく、傘はあたしの手からすり抜けていった…。

「……。」

バサッと広げられた…透明のビニール傘。

その下にはあたしと篠田くん。

上には、無数の小さな水玉…。

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