水玉模様
相合…傘じゃん。

気が…変になりそうだ。

今にも触れてしまわないかと、この身体が震える。

そのかすかな震動さえ気付かれてしまいそうで…。

それでも駅までの道をーーー歩くしかなかった。

駅まではそんなに遠くはないから…たいした事は話さなかった。

篠田くんが週3~4日、コンビニでバイトをしている事。

今日あたしが充也の家に、課題を片付けるために集まっていた事。

雨は一時的なものだったらしく、駅に着く頃にはやんでいた…。

てか元々、傘をさす程でもなかった雨だったし。

「ありがと。ごめんね、送らせちゃって…。」

駅の時計を見ると、もうすぐ20時というところ。

「謝るの俺の方だから。俺が引き止めなかったら、瀬口さんは今頃家にいるよね。」

「……。」

駅はーーー独特の匂いがして、風が吹き抜ける…。

雨と…傘。

思わず、自嘲的な笑みが零れる―――。

「瀬口さん?」

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