水玉模様
それは…1通のメールから始まった。

あたしから―――篠田くんへ。

何度も何度も迷った末に押した、送信ボタンだった…。

”帰ったら…メールしてね?”

篠田くんはそう言ってたけど、結局あたしは一晩明けた翌朝にメールを送った。

《瀬口だけど、昨日は無事に帰れたから。》

メール…したくなかったワケじゃない。

“ただいま”

この一言でさえ、送るのを躊躇(ためら)った。


《良かった。昨日家に帰ってないかと思ったー(笑)。》

すぐに返ってきたメールを見て、また…指が止まる。

篠田くんを好きな気持ちが、あたしを躊躇わせる。

惑わせる…。

メールなら、直接顔を見ることはないから。

想いを、送ってしまいそうで…。

「暑…。」

だいぶ昇っているだろう太陽と、火照るあたしの身体のせいで…心の芯から熱かった。

エアコンのスイッチを入れると、少しだけカーテンを開けた。

少しの雲と、たくさんの青。

やっぱり青は青を貫いていて―――…。

オマエはどうするのか…と、問われている様に思えた。


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