水玉模様
篠田くんかな…。

期待がふくらむ、胸の中。

あたしはドキドキしながら、少し急いで無料通信アプリをひらいたのに―――…。


《和奈、今日ご飯どうするの?》

「…お母さんか。」

ボソッとつぶやいたあたしの心境は、ガッカリなんてもんじゃなかった。


トゥルルル…

トゥルルル…

トゥル…ピッ

「あんた今どこ?」

「…帰ってる途中。」

電話してきた娘に向かっての第一声が…それはないだろ、って思うけど。

まぁ、お母さんの性格上仕方ない。

「ごはんは?食べるよね?」

「あ、うん。先食べてて?」

「…あんまり遅くならないのよ?」

「今もう家向かってるから。」

「あ、そ。じゃぁ和紗と先食べてるわ。」

「うん、じゃぁね。」


和紗(かずさ)とは、あたしの2歳下の妹のこと。

「…。」

また、メールの受信を伝える音が鳴った。




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