水玉模様
《行きたい!》


彼女がいる人と花火大会に行くことへの罪悪感より、好きな人と花火大会に行きたい気持ちの方が、勝った瞬間だった…。

「…。」

あたしってば、メールではなんて素直なんだ。

《じゃ、明日詳しく決めよっか。沙耶香は夏休み中は親戚のとこ行ってていないから。》

《りょーかい。》

あたしの胸中を察したかのようなメール…。


いいのかな…。

今さらだけど、いいのかな…。

「…。」

いい…よね。

ちょっと、花火大会行くだけだもん…。

他にも誰か…充也とか誘うかもしれないし。

「ただいま~!」

あたしは、ウキウキ気分で玄関から声を発した。

「おかえり。あやねちゃんの家から帰ってきたにしては遅かったじゃない。」

居間に行くと、お母さんと妹の和紗がテレビを見ていた。

お父さんは、よくは知らないけど営業マンで忙しいらしく、帰りは遅いんだ。

「家の前で花火見てたんだもん。」

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