水玉模様
スピードを上げる電車と、身体中を占領していく…ドキドキ。

揺れているのは、電車…。

でもきっとあたしもーーーあたしの心も、ゆらゆらと揺れてる…。

あぁ最悪、汗だくじゃんあたし。

2駅先で篠田くんが乗ってくるまで、あと少し。

落ち着け…。

落ち着け、あたし。


《間もなく~伊原西〜……》

アナウンスが車内に響き、減速する電車。

それとは逆に、加速する心臓の鼓動。

何人かが降り、その倍くらいの人達が乗ってきた。

その中の1人、篠田くんは反対の扉側に立っているあたしに気が付いて、あたしの前まで来てくれた。

「瀬口さん。」

その声に、風が―――…吹き抜ける。

「ひさし…ぶり。」

「そうでもなくない(笑)?」

なんて言ったらいいかわからなくて咄嗟に出てきた言葉に、あの笑顔が返ってきた…。

「あは…そっか。」

「うん。てか電車暑いね~。」

「…ん。」

あたしは多分、篠田くんが暑いと感じてるより何倍も…何倍も、暑い。
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