水玉模様
“あの時”って―――?

「篠田…くん……?」

思わず向き直ってしまったあたしの瞳の中には、篠田くんがハッキリと映っていた。


あの時……俺も好きだ…って…?

ヒュ~……


もしかして…まさか……そんなわけ、ない…。


“好き……!”


「……だって…篠田くん…。」


ドドォォォ……ォン…!

“ごめん、もう一回言って?”


ハンドタオルを握る手に、力が入る…。



「ホントは…聞こえてたんだ。」


ーーーあの日の花火の音が、あたしの全身を貫いた。


「え…聞こえて……?だって…え……やだ…。」

テンパりながらも、記憶の中のあまりにも鮮明な光景に、恥ずかしさを感じていた。


でも……じゃぁ…何で聞こえなかったフリなんか…。

「今更…俺、どうかしてるわ。未練たらたら…。」

苦笑いする篠田くんから、視線を外せなかった…。


「あ…あたし……。」


♪♪~

突然鳴ったケータイに、動悸が激しくなる。


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