水玉模様
「あ、多分…瞬から…だ。あやね、かも。あたしが、なかなか戻らないから…。」

完全にキョドりながら、おぼつかない手つきでポケットの中を探る…。


「あ…ッ!」

ガチャン…!


勢い余って落としてしまったケータイからは、まだ着うたが流れていた。

あたしはケータイを拾い上げて、画面を確認した。

―――瞬だ。


確認したところで、着うたが止まった。


「ごめん、あたし戻る…。」

「……。」

急に冷たい風が吹いてきた様な気がして、あたしは落ち着きを取り戻しつつあった…。


「あ、待って…スマホカバー落ちてるよ。」

さっきケータイを落とした時に外れたんだろう、篠田くんが拾ってくれたのは、あたしのものだった。

拾って―――…目を見開いたんだ。


「…あッ!」

ダメ…スマホカバーの裏には―――。

あたしは咄嗟に奪い取ろうとしたけど、遅すぎたんだ…。

< 277 / 358 >

この作品をシェア

pagetop