水玉模様
「これ……。」

「…返して。」

それしか、言えなかった…。

篠田くんに、全てを見透かされてしまった様で。


「何でこのプリクラ、貼ってるの…?」

何で…?

何で……。

「か、勘違いしないで。何となくだからッ。意味なんて…ないし。存在も、忘れてたくらい…。」

篠田くんと充也と、3人で撮ったプリクラ―――すべての、始まり…。

そして剥がせなかったのは、あたしが篠田くんを好きだったという…唯一の痕跡。

「…。」

篠田くんは、無言で手渡してくれた。


「それに…ッ、あたしには、瞬が居るんだよ?篠田くんの…ことなんか……ッ。」

声が、震える…。


大丈夫、あたしはちゃんと篠田くんを吐き出したハズ…。

あたしは、瞬の彼女。


「花火大会のことも、もぉ…忘れて……。」

絞りだす様に言葉を発した後、あたしは下を向いた。

< 278 / 358 >

この作品をシェア

pagetop