水玉模様
それはすぐにあたしを満たしていって、もうどうしようもなかった…。


“ずっと、好きだった。”


「俺、瀬口さんに気持ち伝えたら…今度こそ諦めようって思ってたのに。余計諦めらんねー…。」

篠田くんが、あたしに一歩近づいた。

その微かな空気の流れさえも感じ取れる程、今のあたしは篠田くんの存在を感じていたーーー…。


もう…ダメだった。

水玉は、大きくなりすぎて…あたしを一思いに飲み込んでしまったから。

あたしはその中から抜け出す方法を、識(し)らない。

季節の巡りとリンクしながら、フラッシュバックする想い。

篠田くんに、繋がっていく…。


それなのにあたしは…。

「なんで…。」

「…え?」

なんで…。

そればかりが、ぐるぐるとあたしの身体中を支配する。


「じゃぁ何であの時、あたしの気持ちを無視したの⁈…ッ……もうワケわかんないよ!」


“アイツには、俺が居てやらないとダメで…。”

篠田くんの言ってた言葉が、あたしの身体を掠(カス)めていった。


< 280 / 358 >

この作品をシェア

pagetop