水玉模様
それは、あやねがただひたすら「うんうん。」と聞いてくれているからなのかもしれない。

話し終わった頃には、あたし達の飲みかけのジュースはすっかりぬるくなり、下からはごそごそと物音がーーーお母さんが帰ってきたんだろう。


あたしは…というと。

涙を、流し続けていたーーー…。

その涙を拭うこともなく、かといって泣きわめく訳でもなく、静かに涙を流し続けていた…。


「……ふ……ぅ…うえ…っ。」

言葉になれなかった音があたしの口から出たのは、あやねが優しく抱き締めてくれたからで。

すごく、気がゆるんだんだ。

「また目ぇ腫れちゃうよ?昨日も散々泣いたんでしょ?」

あやねはあたしを抱き締めたまま、よしよしと頭を撫でてくれた。

そして、こう付け加えて言った…。


「てか、ごめんね。半分くらい…知ってた。」

「…。」

「瞬くんや生輝経由で、話…聞いてたんだ。」

申し訳なさそうな口調で言うあやねーーー無理もない、知らないフリしてたんだから。

でもまぁ…3人が繋がってても、おかしいことじゃない。

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