水玉模様
初めて乗る―乗せてもらう―原付に、ドキドキした。

風が、不思議な感覚と感情を連れてくる。

「しっかり掴まってね!」

そして体を擦り抜けていく風が、どんどん新しくなっていくのがわかる。

「ねーぇ、2ケツってまずいよねー!」

「俺がノーヘルの時点でまずいんだから、気にしないの!」

「そっかー。」

風の音や、原付の音に負けない声で話すーーー…。

何故だか、気持ちが高揚する。

へこんでたあたしは、今ここにはいなかった。


「和奈姉ともっとくっついていたかったな~。」

家の前で原付から降りたあたしからヘルメットを受け取りながら、そんなこと言ってたっけ…。

あたしは家に着いてからも、不思議な感覚に包まれていた。

ワクワク?

ドキドキ?

…なんなんだろう。

答えを導けないまま、あたしは日曜日、工藤瞬にメールをしていた。

《また乗せてね!》

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