ダブル王子さまにはご注意を!




「あの……一樹の兄弟のことは」

「夏樹様ですね。もちろん存じ上げてます」


急に改まった話し方になって驚いた。


「夏樹様とはあまりお話しはできませんでしたけれど」

「そっか……」


何だ、と気が抜けた。


こんなに近くに二人を知る女性が居たんだ。なら、私が二人に関わる理由はもうなくなる。


「じゃあ、私はお役ごめんだね」


一樹に向けて笑顔で言えば、彼は眉を寄せただけで何も言わない。そりゃ、ガサツで騒がしい干物女が居なくなれば清々するわね。


「だってもう私が居る必要ないし。後は郁美に訊けばいいだけじゃん。さっさと退院できるようにお医者さんを脅……もとい。お願いしてくるから」


担当医の春日先生は豊かなアフロヘアーは実はヅラで、三十路ながらその下は見事なツルピカということは偶然知って涙目で口止めされてたんだ。


このネタを元に脅……もとい、お願いすれば融通はきくはず。


だいたい、どんな検査でも異常なしなんだから。入院してる意味ないし。次の患者さんのためにベッドを早く空けたいってもの。


「退院したらあっちからも出てくからね」


そう宣言すれば、一樹は一瞬なにか言いたげに見えたけど。すぐに口をつぐんで視線を逸らす。


やっぱり、引き留める価値もないと思われてたか……と現実を知って悲しくなったけど。そんなの自分の勝手な願望だと自身を諫めた。

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