ダブル王子さまにはご注意を!
「お話は窺ってましたわ」
郁美は当然のように一樹から聞いてたんだろう。私の言葉に納得した顔でいた。
「一樹くんの記憶を戻すお手伝い……僭越ながらわたしが引き受けさせていただきます。わたしならきっと出来ると思います……いいえ、きっと戻してみせます」
郁美は普段のか弱い姿から想像もつかないほどに、強い決意を感じさせた。
「うん……それなら安心だわ。一樹と夏樹のこと、よろしくね」
「はい、お任せください。真由理さんの分まで頑張りますから」
「あんまり無理はしないでよ。健康第一なんだから」
やけに張り切る郁美がちょっと心配になる。ずっと入院してた彼女の負担にならない程度にしてもらわないと。役割を放棄して後を任せる身からすれば気になってしまう。
「一樹、ちゃんと郁美を大切にして無理させないでよ」
「そんなのわかってる」
「どうだか。あんたは無遠慮なところあるし……ちゃんと見守りなさいよ」
結局、何の役にも立たなかったな~としょんぼりしてしまった。ま、元々強引に巻き込まれただけだし。日常に戻れることは喜ぶべきだよね、うん。
寂しいだとか……そう思うなんてあり得ないから。