ダブル王子さまにはご注意を!
フラフラと郁美に近づいた早乙女さんは、震える手で花束を差し出す。
「ど、どうぞ……」
「あ……の? このお花は真由理ちゃんにでは?」
「いえ! ぼ、僕の女神にプレゼントしたくて……ですから、どうか受け取ってください!」
(うわぁ、今どき女神とかあり得ないわ~~ってか。最近だと生花は感染症の危険もあるから、病棟に持ち込み禁止のところもあるのですけどね)
たぶん、早乙女さんらしく病院のホームページを見ることなく、うっかり調べ忘れたんだろうな。
ていうか……
周囲がドン引きしているにもかかわらず、早乙女さんは花束を郁美に押し付け……もとい。プレゼントすると、目を輝かせて語り出した。
「初めまして、僕は早乙女 恭介(さおとめ きょうすけ)って言います。中西さんとは同僚で……あなたのお話はよく聞いてました」
(聞いてたってか勝手な妄想してただけでしょ)
いちいちツッコミたくなるくらい、早乙女さんの自己紹介は的外れで滑稽だった。
「あ……わたしの話を真由理ちゃんと?」
「はい! 綺麗なお弁当を作ってましたよね。お料理が得意と聞いて、僕と話が合いそうだなって思って。一度お会いして話してみたかったんです。
想像通りに百合の花のように可憐な方で……」
「……まぁ、百合の花だなんて……」
(うおおい、なぜそこで頬を染める? 都合よく妄想男が誤解をするでしょう!てか郁美も否定しなさいよ)
遂には郁美にまでツッコミを入れたくなってきた。